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2011年6月16日木曜日

緑と映り

地形とか地勢とかに余り関心を持たないでと云うか,意識し
ないで描いていたが,ある方の話を聞いて,なるほどと気が
ついたことがある。
十数年前,いや実際には,もっと以前に,その土地は,一続

きの丘のような所であったに違いないが,都市化の影響で,
その丘の麓から道が縦断して造られたことで,丘が二つに
分断されてしまった。
それから暫らく時間が経過して,昔の姿を知らない者が,
その道を上がって行くと,森のような木々の繋がりが,道を

挟んで両側に広がっているのを見るだろう。
果たして,その人は,昔,この森は一つの場所であったこと

に気づくだろうか。おそらくそんなことには,関心を持たずに
通り過ぎてしまうのではないか。
丘や森の姿は,人間によって変えられてしまっても,以前は,

そこら一体が一続きの丘であったり森であった痕跡は,今
でも気をつけてみれば,どこかに残っている。
昔の東京の姿を忍ばせてくれるような,ホッとするような場

所が今でも確実に残っている。
そこは,人に知られずに時を過ごしてきたかのような所だ。

絵に描いたここも,そんな場所の一つではないか。


13.JUN.2011    P6  ダーマートグラフ 
透明水彩  画用紙