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2008年11月30日日曜日

広場のある風景



ヴェネツィア最後の日は、一日中歩きとおしてすっかりくたびれてしまい、サンタ・マルゲリータ広場で一休みしたのを思い出す。
午後も遅い時間になっていたせいか、広場には、三々五々、人が集まってきて、それぞれが思い思いに時を過ごしているようにみえる。


夕刻、広場に集まってきて漫ろ歩きするのをイタリアでは、「パッセンジャータ」と言うのだそうだが、さしあたり日本ではこのような習慣はない。強いて言うなら、日本の「お祭り」や「縁日」に、三々五々、人々が連れ立って歩くのに似ているような感じを受けた。しかし、かなり違うと思われるのは、広場に集まってくる人々が殆ど家族のように顔見知りの中で、挨拶を交わしながら冗談を言い合ったり、一日の出来事など語り合ったりしている姿だ。
広場を中心にして出来上がっている共同体的な生活のスタイルが、その歴史的な裏づけとともに色濃く残っているのではないかと思う。
日が落ちて辺りが暗くなってくる頃からは、観光客の姿もめっきり減って、昼間とは違う雰囲気につつまれてくる感じがして、いつまでも広場を立ち去りがたかったのを思い出す。


2008.10.09.  F6 
   ワットマン水彩紙
    ペン  透明水彩